2019年10月23日
サマリー
本稿では、国連の責任投資原則(PRI)が今後10年間の「責任投資のビジョン」で掲げる気候変動対策の推進とSDGs実現に焦点を当て、今後金融資本市場や投資家に与え得る影響について考察する。
PRIは、気候変動対策の推進として、TCFD提言に基づく気候変動リスク開示規制の国別レビューや署名機関からの報告における指標の導入、気候変動イニシアチブの推進等を進めてきた。今後は、規制当局への働きかけや投資先企業との対話強化、投資家が低炭素経済への移行に沿った資産配分ができるような支援等を進めていく。
SDGsの実現に関しては、SDGs投資に取り組む意義の明確化やインパクト投資市場マップの作成等の取り組みを進めてきた。今後は、投資家がSDGsの達成に取り組む企業へ投資できるよう、実務的なガイダンスの導入等の支援を進めていく。
このようなPRIの動きは、今後、ESG投資の拡大とともに、金融資本市場に一層大きな影響を与えるようになる可能性がある。PRIの署名機関であるかどうかにかかわらず、PRIの動向を踏まえた対応を行うことが、受益者の最善の利益に合致した資産運用につながると期待されるのではないだろうか。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
生活費危機の時代に重要な「生活賃金」
多様なステークホルダーとの「賃金をめぐる対話」が企業の課題に
2025年09月18日
-
EUサステナ開示規制の域外適用見直しへ
米国とEUは関税合意の一部としてサステナ開示の域外適用を見直す
2025年09月12日
-
機械学習による有価証券報告書(2025年3月期)の人的資本開示の可視化
経営戦略と人事戦略の連動や、指標及び目標の設定に課題
2025年08月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日