2017年12月01日
サマリー
社会的責任投資(SRI)の一分野とされるESG投資は、委託者の利益だけを求めるべき受託者責任に反するとの懸念がある。SRIの投資パフォーマンスが他の運用手法に劣後しないならば受託者責任に反しないとの解釈が広まっているが、受託者責任に関する懸念は完全には払しょくされていない。
このような状況の中、2015年にPRIなどから公表された「21世紀の受託者責任」では、むしろESGを考慮しないことが受託者責任に反するとの新たな見解が表明され、受託者責任を全うするための提言などがまとめられた。
ESG投資は、ESG要因が将来の企業価値や投資パフォーマンスと関係することが前提となっている。そこで一例として、E(環境)要因である売上高当たりCO2排出量と企業パフォーマンスの関係を分析したところ、何らかの関係があることを示唆する結果を得た。
今後も、実証によりESG要因との関係を明らかにしていく必要があるが、そのためには企業がESG情報の開示を拡充し、そのデータベースを充実させることも必要となる。今後、ESG投資が拡大することで投資パフォーマンスや企業の持続可能性が向上し、経済成長に寄与することが期待される。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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