「パリ協定」が求める理想と主要排出国・地域が計画する削減策の現実
~高まる気候変動リスク、解決には排出増と経済成長のデカップリングを進める各国・地域の強い意志が必要~『大和総研調査季報』 2016年4月春季号(Vol.22)掲載
2016年06月01日
サマリー
地球温暖化に伴う気候変動リスクが社会問題として認識される中、2015年末に開催されたCOP21において「パリ協定」が採択された。初めて全ての国が温室効果ガスの削減に取り組む公平な枠組みとして、2021年からの実効ある実施が期待されている。
同協定は実質的に世界全体のエネルギー起源二酸化炭素排出量の大規模な削減を目指しており、各国・地域はエネルギー政策と整合する削減目標を誓約して、そのための措置を講じることが義務付けられた。中期目標(2030年前後)に向けた国内措置については、天然ガス等の有望なエネルギー資源を持つ国が積極策に出る一方、石炭等に依存した経済開発に取り組まざるを得ない新興国や、エネルギー自給率が低く資源の選択肢が乏しい国・地域は守勢に回る状況が見られる。
各国・地域には自国・地域のエネルギー資源や削減技術等を活かしてデカップリングを進める強い意志が求められている。さらに、パリ協定が掲げる理想と現実のギャップを少しでも埋めるために、世界全体の排出削減につながる枠組みを国際協力で磨き上げていく必要がある。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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