2013年05月20日
サマリー
◆マーケットサマリー(2013/4/19~2013/5/16)
具体的な手が見えず、EUAは€4の上値抵抗線を抜けずに終わる
◆関連トピック
■大気中CO2濃度が最高値を記録
米国海洋大気庁(NOAA)は、5月9日、ハワイにあるマウナ・ロア観測所(MLO)で観測している大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が、1958年の観測開始以来、初めて400ppm(1ppmは100万分の1)を超えて400.03ppmを記録したことを発表した。ほとんどの工業国が集積する北半球の北極では、すでに昨年400ppmを超えるCO2濃度が観測されており、数年内に南半球で同様の状況が観測されるであろうと予想されている。
■EU ETSの価格下落でCCSの財政支援が困難に
CCS(二酸化炭素回収貯留技術)は、火力発電等で発生する二酸化炭素(CO2)を回収して地中などに貯留する技術で、地球温暖化対策の革新的技術の一つに位置付けられている。欧州委員会(EC)はCCSの技術開発や設備導入の財源にEU ETSのオークション収入(3億CO2トン分)の一部を充てることにしているが、排出量価格の下落により、当初想定していた資金が確保できない可能性が出てきた。昨年行われた2億CO2トン分のオークション収入は15億ユーロ(€ 7.5/CO2トン)で、当初見込んでいた40億~60億ユーロを大きく下回った。残りの1億CO2トン分のオークション収入も、排出量価格がこのまま推移すれば、当初見込みを大きく下回ることが懸念されている。
■2020年に向けた国連気候変動枠組条約の動向
4月29日~5月3日、ドイツ・ボンにおいて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下の「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合(ADP 2)」が行われた。ADPは2011年の第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP17)の決定で設立され、2012年から主な交渉の場として機能している作業部会である。今回の会合は次の2つの議題について議論し、次回会合(6月にボンで開催される補助機関会合及び11月にポーランド・ワルシャワで開催されるCOP19)で具体的な交渉に入るための下地作りであった。日本は、2020年までに1990年比で25%削減する排出削減目標を公式に取り下げておらず、今秋頃までに排出削減目標が明示される地球温暖化対策計画の策定に向けて、排出削減目標の根拠となるエネルギー基本計画の行方が注目される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日