2012年07月11日
サマリー
◆日本の長期エネルギービジョン策定に向けて、政府は国民に3つのシナリオ(原発ゼロから現状維持まで)を提示している。しかし、これらのシナリオでは原発が現状維持でも再生可能エネルギーの比率は最低でも25%と、大幅な拡大が前提となっている。
◆すでに再生エネルギーに関しては、固定価格買取制度が導入され、市場の拡大が期待されている。大規模発電のためのメガソーラーや、ウインドファームの計画もあるが、再生可能エネルギーのさらなる促進に向けて、再生可能エネルギーを一次産業と位置付ける促進策を提案したい。
◆そもそもなぜ再生可能エネルギーを一次産業ととらえるのか。江戸時代にさかのぼり、我々日本人のエネルギーとの付き合い方を振り返り、明治維新以降の近代化、戦後の高度成長期のエネルギー需給関係から、我々は高度成長までは薪炭や水車など再生可能エネルギーに依存した暮らしをしていたことがわかる。
◆そこでは、エネルギーイコール電力ではない。たとえば水車を動力源として、最終的に必要なサービス(熱や動力、照明など)を得たり、薪炭を用いて照明や暖房など最適なエネルギーを直接得てきた。また、主に農山村地域が、その土地の天候や地形を有効活用してエネルギーを供給しており、化石燃料と原子力を得るまでは、エネルギーは地域の資源で賄うものであった。
◆電力と農林水産業は全く異なったものと思われがちだが、再生可能エネルギーは農産物と同様に、その土地の風や光、水、バイオマスなどを活用した「作物」である。農業など一次産業従事者が主体的に供給してもおかしくない。
◆すでに岩手県の葛巻町や高知県の梼原町など、地域の自然条件に適した再生可能エネルギーの供給に取り組む自治体が増えている。また総務省の緑の分権改革や、農水省の政策でも地域活性化、農業活性化から再生可能エネルギーに着目した動きはあるが、地方の再生可能エネルギーを一次産業と明確に捉え、意識改革と制度づくりに生かせば、再生可能エネルギー市場の拡大のみならず、地域の自立活性化にもつながるのではないか。
◆すでに再生エネルギーに関しては、固定価格買取制度が導入され、市場の拡大が期待されている。大規模発電のためのメガソーラーや、ウインドファームの計画もあるが、再生可能エネルギーのさらなる促進に向けて、再生可能エネルギーを一次産業と位置付ける促進策を提案したい。
◆そもそもなぜ再生可能エネルギーを一次産業ととらえるのか。江戸時代にさかのぼり、我々日本人のエネルギーとの付き合い方を振り返り、明治維新以降の近代化、戦後の高度成長期のエネルギー需給関係から、我々は高度成長までは薪炭や水車など再生可能エネルギーに依存した暮らしをしていたことがわかる。
◆そこでは、エネルギーイコール電力ではない。たとえば水車を動力源として、最終的に必要なサービス(熱や動力、照明など)を得たり、薪炭を用いて照明や暖房など最適なエネルギーを直接得てきた。また、主に農山村地域が、その土地の天候や地形を有効活用してエネルギーを供給しており、化石燃料と原子力を得るまでは、エネルギーは地域の資源で賄うものであった。
◆電力と農林水産業は全く異なったものと思われがちだが、再生可能エネルギーは農産物と同様に、その土地の風や光、水、バイオマスなどを活用した「作物」である。農業など一次産業従事者が主体的に供給してもおかしくない。
◆すでに岩手県の葛巻町や高知県の梼原町など、地域の自然条件に適した再生可能エネルギーの供給に取り組む自治体が増えている。また総務省の緑の分権改革や、農水省の政策でも地域活性化、農業活性化から再生可能エネルギーに着目した動きはあるが、地方の再生可能エネルギーを一次産業と明確に捉え、意識改革と制度づくりに生かせば、再生可能エネルギー市場の拡大のみならず、地域の自立活性化にもつながるのではないか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
スチュワードシップとESGは別モノ:英FRC
英国でスチュワードシップの定義を変更、ESG要素を削除
2025年06月13日
-
ISSBがIFRS S2の改正案を公表
温室効果ガス排出量の測定・開示に関する要件を一部緩和
2025年05月16日
-
年金基金のESG投資を実質禁止へ:米労働省
バイデン政権時代に制定されたESG投資促進の規則は廃止へ
2025年05月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日