2012年06月05日
サマリー
◆いくつかの国の企業における女性取締役の状況をみると、欧州や米国では女性取締役を有する企業が50%を超えているのに対し、日本は6.1%と非常に低い。また、女性取締役比率は10%強の水準の国が多いが、日本は0.7%にとどまっている。
◆2005年から2011年の各年において、女性取締役を有する日本企業でポートフォリオを構成したところ、2007年以降の年間リターンは配当込みTOPIXを上回った。
◆各年のリターンを累積した7年間の累積リターンは、配当込みTOPIXが-28.8%であったのに対し、女性取締役ポートフォリオは+5.38%で配当込みTOPIXのリターンを大きく上回った。また、スタイル・インデックスを使ってFama-Frenchの3ファクターモデルによる推計を行ったところ、月次ベースで+0.341%の統計的に有意な超過リターンを得た。
◆業種構成の偏りがポートフォリオのリターンに影響している可能性があるため、業種別の状況をみたところ、食料品や電気機器、サービス業などの個人に対して商品やサービスを提供する業種に女性取締役を有する企業が多いようである。
◆業種構成の偏りには注意が必要であるが、リターン分析の結果は女性取締役という情報が投資パフォーマンスの向上に寄与することを示唆しているのではないか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
ESGポートフォリオのリターン分析①
女性活躍関連のポートフォリオ
2015年02月06日
-
ESG評価と事後リターン
ESGに関する評価の得点で作成したポートフォリオのリターン分析
2013年01月16日
同じカテゴリの最新レポート
-
東証が求めるIR体制の整備に必要な視点
財務情報とサステナビリティ情報を統合的に伝える体制の整備を
2025年04月28日
-
サステナビリティ課題への関心の低下で懸念されるシステムレベルリスク
サステナビリティ課題と金融、経済の相互関係
2025年04月21日
-
削減貢献量は低炭素ソリューションの優位性を訴求するための有用な指標となるか
注目されるWBCSDのガイダンスを踏まえて
2025年04月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日