排出量取引マーケットレポート 2012.5.18

2011年度の電力需給実績(電力10社) ~販売電力量は前年比5.1%減、一方でCO2排出量は前年比18%増~

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2012年05月21日

  • 真鍋 裕子

サマリー

◆マーケットサマリー(2012/4/20~2012/5/17)

ギリシャ総選挙の影響を受けて€6.57まで下落



◆関連トピック

EU-ETS対象施設における2011年排出量は前年比減少
EU排出量取引制度(EU-ETS)対象施設における2011年の二酸化炭素排出量は前年比2%以上減少した。また、第2フェーズ開始以来、義務履行に用いられた京都メカニズムクレジット(CER/ERU)は合計555百万トン(2008~2011年)となった。年々CERの使用割合は増加しており、第3フェーズ(2013~2020年)に向けて、安価なCERを使用してEUAを保存し繰越す準備が進められている。

2011年度の電力需給実績(電力10社)
~販売電力量は前年比5.1%減、一方でCO2排出量は前年比18%増~

電力10社による2011年度販売電力量は前年比5.1%減少した。特に、東北・東京電力管内における大口業務用電力において節電努力の成果が大きく見られた。一方で、発電用の電源として原子力の停止分を火力で賄う形となり、結果として、燃料消費に伴うCO2排出量は前年比59百万トン、18%増加した。

京都議定書第1約束期間の目標達成見通し
わが国の2008~2010年度の排出量実績は3ヵ年平均で基準年比1%削減となっている。これに森林吸収分、政府・民間による京都メカニズムクレジットの活用分を加算すると基準年比11%の削減となり、目標の6%削減を5%超過達成している状況だ。2011~2012年は原発停止によるCO2排出量増加が避けられないものの、超過達成分で吸収できる可能性が高い。ただ、排出量は景気・気候条件で大きく変動するため予断は許されない。

経済産業省の二国間オフセットFS調査、採択案件15件
二国間オフセット・クレジット制度に関する2012年度のFS調査案件(1次公募)15件が発表された。今年度の調査は、相手国への政策提言と具体的事業スキームの提案が目的となっており、また2国間交渉の進んでいる国を対象とする案件が多いことから、日本政府が2013年の早い段階で事業実施を目指していることがうかがわれる。

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