排出量取引マーケットレポート 2012.4.20

2011年排出量が予想を下回り、最安値を更新

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2012年04月23日

  • 真鍋 裕子

サマリー

マーケットサマリー(2012/3/16~2012/4/19)

2011年排出量が予想を下回り、最安値を更新


関連トピック

EU-ETSの対象施設における2011年排出量は減少の見込み
EU排出量取引制度(EU-ETS)対象施設における2011年の二酸化炭素排出量データが公表された。取得可能なデータのみを当社で集計したところ、前年比2.5%の減少となっている。予想を下回る排出量であったことから、EU排出権価格(EUA)は下落した。削減義務の達成状況については5月15日に公表される。

環境省、温室効果ガス削減目標シナリオを試算
環境省では、2013年以降の地球温暖化対策に関する議論が進められている。前提条件別に、2030年までに5~40%削減する24通りのシナリオが提示された。原発非稼働でも最大25%の削減が可能となっている。経済産業省総合資源エネルギー調査会のエネルギーベストミックスの議論結果と照合し、最終的な日本の削減目標が決定される。

2011年度、日本政府による京メカクレジット購入の新規契約はゼロ
日本政府による京都メカニズムクレジット購入は2006年度より行われてきたが、2011年度末の総契約量は9,755.9万トンであり、1億トンの購入目標をほぼ達成した。契約済みクレジットの内訳を見ると、大量取得が比較的容易なAAU(初期割当量)が4分の3を占める。自国での削減余地が限られる日本にとって、2013年以降もクレジットを大量創出できる新たなメカニズム構築が欠かせないものになろう。

国内のクレジット制度統合に向けて
2013年以降の国内クレジット制度の議論がスタートした。現行の「国内クレジット制度」と「カーボン・オフセット制度」を統合する方向となりそうだ。それぞれの制度設計当初の目的は異なるが、事務フローは同様であり統合は妥当と考えられる。ただし、2013年以降のクレジット利用用途は限られており、制度が普及するかどうかは、2013年以降の日本の温暖化政策(国内排出量取引制度の導入等)によるところが大きいだろう。

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