誰が暗号資産(仮想通貨)を保有しているのか

~暗号資産関連サービス提供に向けた投資家保護・マーケティングへの示唆~『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載

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  • 金融調査部 研究員 森 駿介
  • 金融調査部 研究員 谷 京
  • デジタルソリューション研究開発部 田中 誠人

サマリー

日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査」の個票データ等をもとに、暗号資産を保有する個人の特徴を分析した。その結果、①暗号資産保有確率を高める要因として、「若い」「デリバティブ取引を実施」「短期利益を目的に運用」「証券教育の受講経験あり」「金融リテラシーが高い」「せっかち」「リスク許容度が高い」などが挙げられる、②一方で、「女性」「年金受給者」「株式・投資信託を対面チャネルのみで取引」といった要因は同保有確率を引き下げることが示された。さらに、暗号資産投資家は、株式・投資信託などを保有していない場合に特に投資家として相対的に脆弱な傾向にあることや、質の低い投資情報が流布する傾向にあるSNSを投資判断の情報源としがちである、といったリスクも確認された。これらの結果は、暗号資産関連サービスの提供を企図する事業者のマーケティングに加え、投資家保護のあり方への示唆にも繋がろう。投資家保護の先行事例として、欧州での暗号資産の投資アドバイス等の提供に係る投資家保護の規制枠組みや、SNS上で投資や金融に関する情報を発信する「フィンフルエンサー」に対する海外での対応が参考になるものと思われる。

大和総研調査季報 2025年秋季号Vol.60

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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