2025年10月24日
サマリー
日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査」の個票データ等をもとに、暗号資産を保有する個人の特徴を分析した。その結果、①暗号資産保有確率を高める要因として、「若い」「デリバティブ取引を実施」「短期利益を目的に運用」「証券教育の受講経験あり」「金融リテラシーが高い」「せっかち」「リスク許容度が高い」などが挙げられる、②一方で、「女性」「年金受給者」「株式・投資信託を対面チャネルのみで取引」といった要因は同保有確率を引き下げることが示された。さらに、暗号資産投資家は、株式・投資信託などを保有していない場合に特に投資家として相対的に脆弱な傾向にあることや、質の低い投資情報が流布する傾向にあるSNSを投資判断の情報源としがちである、といったリスクも確認された。これらの結果は、暗号資産関連サービスの提供を企図する事業者のマーケティングに加え、投資家保護のあり方への示唆にも繋がろう。投資家保護の先行事例として、欧州での暗号資産の投資アドバイス等の提供に係る投資家保護の規制枠組みや、SNS上で投資や金融に関する情報を発信する「フィンフルエンサー」に対する海外での対応が参考になるものと思われる。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ISSが2026年以降の助言基準を公表
多様性基準の引き上げ、支配株主がいる会社に過半数の社外取締役を求める助言基準案について意見募集中
2025年11月06日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
-
米国DC「自動加入化」の効果と今後の期待
若年層や低所得者層の加入率向上と資産形成の促進に有効な仕組み
2025年10月07日

