サマリー
◆金融資産を保有しない、いわゆる「貯蓄ゼロ」世帯が増えている。世代間格差として、高齢層に金融資産が偏在し、40歳代などで年収の伸び悩みが見られる。また、50歳代や70歳以上の世帯で、金融資産の保有のばらつきが大きくなる世代内格差が拡大している可能性が指摘できる。
◆生活スタイルやマインドの変化では、生活設計が十分ではなく、今の余暇を充実させる傾向の強まりがある。老後の生活資金を積み立てる必要性はしっかり認識されるようになっているものの、切迫感は不足している模様である。また、マイホーム志向が低下しているにもかかわらず住宅の取得は増えており、準備不足のままで購入している可能性が考えられよう。
◆金融資産の蓄積が進んでいなかった世帯が、金融資産非保有となった可能性があることから、計画的な金融資産の蓄積が必要となろう。そのためには金融リテラシーの獲得が必須であり、金融機関などからのアドバイスの充実が求められる。家計の金融資産の蓄積は、家計と日本経済と、仲介者としての金融機関にとって望ましい結果が期待できることになる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ISSが2026年以降の助言基準を公表
多様性基準の引き上げ、支配株主がいる会社に過半数の社外取締役を求める助言基準案について意見募集中
2025年11月06日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
-
誰が暗号資産(仮想通貨)を保有しているのか
~暗号資産関連サービス提供に向けた投資家保護・マーケティングへの示唆~『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日

