公的年金改革法案におけるGPIF改革の論点

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サマリー

◆2015年末に再開された社会保障審議会年金部会において、さらなるGPIF 改革の方向性についての議論が行われ、2016年2月8日には「GPIF改革に係る議論の整理」が公表された。同年3月11日、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」(以下、改革法案)が国会(第190回通常国会)に提出され、GPIF改革についてはこの議論の整理を踏まえた形となっている。


◆改革法案では、ガバナンス体制の見直しとして、合議制の経営委員会を設け執行機関の業務執行に対する監督を行うという内容が盛り込まれている。また、運用の見直しについては、利用可能なデリバティブ取引の方法の拡大、コール資金の貸付等の追加、といった内容が、盛り込まれている。


◆年金部会では、改革法案にかかる内容の他に、オルタナティブ投資スキームの検討についても議題となり、現行のGPIF法の枠組みで対応が可能との意見にまとめられている。また、もう一つの議題として最も多くの関心を集めた、GPIFによるインハウスでの国内株式運用については、マーケットや企業経営へ与える影響を懸念する声も多く、法案化は見送られたが、今後再検討の余地も残されている。


◆今後、GPIFの運用はますます高度化が進むことが予想される。運用の透明性向上につながるガバナンス体制のブラッシュアップを続ける必要があるだろう。

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