サマリー
わが国の年金運用が揺れている。従来の政策資産配分を守り、リバランス運用を実直に遂行してきた年金基金が、国内株式の大幅な下落を引き金とする運用資産の減少により、積み立て不足の拡大を余儀なくされているためだ。国内株式のリターン不足を補うためのオルタナティブ投資に関しても、2012年2月に表面化したAIJ投資顧問の年金資産消失問題で大幅な損失を計上し、新たな財政難の火種となっている状態だ。問題の余波により、厚生年金基金のガバナンス体制の欠如が社会問題にまで発展し、現在では、資産運用の在り方に関する様々な協議が、関係各省庁において行われている。
年金運用が苦戦する一方で、邦銀や生保では、株式や分散効果が乏しいオルタナティブ投資そのものから撤退し、国債投資へ回帰している状況が鮮明になりつつある。今後、年金基金においても、従来の株式偏重の政策資産配分を諦め、新たな運用方針へシフトするか注目されているといえよう。本稿では、低迷する国内株式市場を横目に、今後の年金運用がどこに向かうべきなのか、大和総研オルタナティブ投資アンケート(2012年度)の結果を基に考察していく。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
拡大するDCの投信運用と若年層の資産形成
DCで若年層に普及するNISAを補完、資産形成の「継続」を支援
2026年02月25日
-
非財務情報開示は縮小に向かうか?
米英で非財務情報開示縮小が政策課題に。情報開示負担軽減へ。
2026年02月20日
-
議決権行使は過度に重視されている:英IA
議決権行使の重要性を強調するあまり形式的対応を招いている
2026年02月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
-
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
-
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日

