年金運用はどこにいく

~オルタナティブ投資アンケート(2012年度)を踏まえて~『大和総研調査季報』 2012年秋季号(Vol.8)掲載

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2012年12月03日

サマリー

わが国の年金運用が揺れている。従来の政策資産配分を守り、リバランス運用を実直に遂行してきた年金基金が、国内株式の大幅な下落を引き金とする運用資産の減少により、積み立て不足の拡大を余儀なくされているためだ。国内株式のリターン不足を補うためのオルタナティブ投資に関しても、2012年2月に表面化したAIJ投資顧問の年金資産消失問題で大幅な損失を計上し、新たな財政難の火種となっている状態だ。問題の余波により、厚生年金基金のガバナンス体制の欠如が社会問題にまで発展し、現在では、資産運用の在り方に関する様々な協議が、関係各省庁において行われている。

年金運用が苦戦する一方で、邦銀や生保では、株式や分散効果が乏しいオルタナティブ投資そのものから撤退し、国債投資へ回帰している状況が鮮明になりつつある。今後、年金基金においても、従来の株式偏重の政策資産配分を諦め、新たな運用方針へシフトするか注目されているといえよう。本稿では、低迷する国内株式市場を横目に、今後の年金運用がどこに向かうべきなのか、大和総研オルタナティブ投資アンケート(2012年度)の結果を基に考察していく。


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