シリーズ 民間企業の農業参入を考える

第1回 我が国の農業を取り巻く環境と金融機関の農業参入

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  • マネジメントコンサルティング部 主席コンサルタント 林 正浩
  • 大和フード&アグリ株式会社 副部長 藤田 葵

サマリー

◆基幹的農業従事者数がこの四半世紀で約半分の水準に落ち込むなか、農業の憲法とされる「食料・農業・農村基本法」が1999年以来改正され、「食料安全保障の確保」へと明確にスタンスが変化した。

◆農業経営体における団体経営体数は2005年以来一貫して増加し、この15年間で約15%増えている。特に、会社組織や農事組合法人が一貫して増加していることが目を引く。

◆農業の持続可能性を高めるためには(1)土地生産性・労働生産性、(2)流通革新の方向性、(3)資金調達の3つがポイントである。

◆2009年の農地法改正をきっかけに、農外企業の農業参入が加速化した。当初は食品関連産業と建設業が一定のシェアを占めていたが、近年は参入業種も多様化するとともに、本業と農業のシナジーを見出しながら、事業を多角化していくバランスをとっている状況が見て取れる。

◆農外企業の中でも農業への関与が着目されてこなかったのが金融業であるが、その実態に迫ると、農外企業の農業参入が加速化する中で農業関係のファイナンスを強化するとともに、農業支援サービスを展開開始し、また徐々に生産事業に着手する例も出てきている。

◆金融機関自らが農業生産事業に関与する際の事業ビジョンや戦略、運営方針は様々であるが、今後も自らの本業である金融事業に農業生産を結びつける方向性と、農業生産を通じた地域貢献を実現する方向性の2つを堅持しながら農業に携わる金融機関が増えると期待される。

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