2016年09月27日
サマリー
◆逆境はイノベーションの母である。逆境に直面することで変革の必要性は高まる。そして、現状を打破するため、実行性を重視した経営に舵を切る。逃げようがない課題を前にして何かを変えなければならない状況にある「逆境」は、イノベーションを生み出すチャンスといえよう。
◆本稿では、人口減少をはじめとした逆境にさらされる地域鉄道の経営改善への取組みを題材に、逆境下のイノベーション創出について考察する。ユニークな取組みを実施している地域鉄道として、和歌山電鐵、水間鉄道、わたらせ渓谷鐡道の事例を紹介し、これらの成功モデルから逆境イノベーションのポイントを明らかにしてみたい。
◆今回の事例で着眼すべき点は、事業者としての存在価値を、「レール上を走る輸送事業者」から「沿線住民や観光利用者を巻き込んだ地域のプロモーション媒体」へとリポジショニングした点にある。そして、地域資源活用戦略「無いものねだりより、あるもの探し」、「経営者の革新志向と優れた感性、周囲を動かすリーダーシップ」、「地域企業や沿線住民、地方自治体、ボランティア等の支援」が逆境下で効果を上げるための重要なポイントになる。
◆逆境下におけるイノベーション創出のポイントは、経営者の力量と企業の内面的な強さに他ならない。そして、創造主たるイノベーターには、新たな事業にチャレンジし続ける「起業家精神」と、逆境にも負けない「ハングリー精神」、そして優れたアイデアを生み出す「感性」が不可欠であろう。経営者がリーダーシップを発揮し、周囲を巻き込みながら全社員が一丸となって逆境に立ち向かうことで、経営改善につなげていくことが肝要だ。
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