サマリー
◆「10年後のありたい姿」や「将来実現したい社会」として、中長期的な経営ビジョンを掲げる企業は多い。しかし、経営ビジョンは実際に企業業績を高める効果があるのだろうか。
◆米ハーバード大学経営大学院(以下HBS)の経営学者コッター(1992)は、企業戦略に合致した企業文化こそが、高い企業業績に結びつくと結論付けた。同じくHBSの経営学者であるコリンズ(1994)は、時代を超えて発展する企業には、外部環境の変化に挑戦し続ける力強い文化があることを発見した。またカナダの経営学者バート(2001)は、明確な経営ビジョンに裏付けられた整合的な評価制度や強いコミットメントが、企業業績に対して正のインパクトを持つことを定量的に示した。
◆大胆かつ明確な経営ビジョンを掲げ、それを本気で達成しようとしている企業は、時代の変化に対する挑戦意欲と適応能力が高い。その結果として、競争力のある商品やサービスが生まれ、結果としての高業績が後からついてくることが、先行研究から示唆されているのではないか。特に未来への不確実性が増す昨今、変化に対する柔軟かつ機動的な経営の必要性は高まっていると言えるだろう。経営ビジョンがこうした変化に対し正の原動力となったとき、企業業績は高められると筆者は考える。
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