〈資本コストリテラシー〉を研く

投資家という「外部の視線」を取り入れる3つの方法

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サマリー

ROEが、投資家から期待される水準を「上回っている」と考えている企業は42.9%である一方、自らが期待するROE水準を「上回っている」と考える投資家は僅か1.7%だけであり、期待する水準を「下回っている」と考える投資家に至っては49.1%にのぼる——(※1)。

いま、投資家と企業との間で、資本コストをめぐる認識にギャップが生じている。なぜ、このような相違が生じるのか。原因のひとつには、企業サイドにおいて資本コストの十分な理解が進んでいないことがあるように思われる。現在、「会計2.0」「CFO2.0」や「ファイナンス思考」といった考え方が注目されてきており、企業経営に関わる人々にとってファイナンスの知識の重要性はますます高まっている(※2)。こうした時勢において、ファイナンスの中核概念たる資本コストの理解を深め、クオリティを高めていくことは、急務である。

本稿は、こうした問題意識のもと、資本コストをめぐる投資家と企業のギャップを分析し、資本コストの理解を阻む要因や、これを解消するための方法を考察する。

(※1)一般社団法人 生命保険協会[2018]
(※2)森川潤[2018]、朝倉祐介[2018]。なお、週刊ダイヤモンドによる調査によれば、同調査に回答した役員のうち84%が、社員には「ファイナンスの概念や投資の評価方法」を理解してほしいと思っている一方、一般従業員において同項目を選択した割合は5%となっており、両者の認識に大きな差があることがわかる(週刊ダイヤモンド[2018]、本稿8貢参考資料)。

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