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自治体の「損益計算書」で稼ぐ力をみる

経営の発想に基づく分析手法なくして実効性ある地方創生戦略なし

2015年12月01日

鈴木 文彦

サマリー

◆財務省は、財政融資の貸し手の立場で自治体に対し財政分析ヒアリングを行っている。これは、金融機関が貸出にあたって民間企業を格付けし案件審査するのと変わらない。現金ベースに修正した損益計算書を使って自治体の財政分析をしている。財政の健全性を判断するための分析指標は、債務償還可能年数など企業格付けと同じものを使う。修正損益計算書には、政策的なバイアスの一切ない地方財政の実力が現れる。


◆他方、伝統的な自治体の財務分析では損益計算書に相当するものを使わない。財政健全化法の将来負担比率、決算統計から導く経常収支比率など、修正損益計算書の分析指標と類似した指標はあるが、諸々の理由から指標値の評価にズレがある。また、修正損益計算書の分析指標が修正損益計算書から統一的に導き出すことができるのに対し、伝統的な指標は財政健全化法、決算統計そして新地方公会計というように根拠資料が複数にまたがっている。


◆修正損益計算書による分析は、分析指標だけでなく分析手法も企業分析と同じである。言い換えれば、地方創生でいう自治体の「稼ぐ力」を検討するのに使える。自治体の財政運営に置き換えれば、地域活性化のポイントは、効果的な投資を行うことによって、交付税や補助金等の依存財源をできるだけ少なくし、地方税等の自主財源を増やすことと言える。人口増加策やエリアマネジメントの成果も自治体の修正損益計算書に現れる。経営感覚に富んだ効果的な総合戦略の立案は、経営の発想に基づく修正損益計算書の分析と、これを踏まえた長期見通しの策定を通じて実現する。

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