サマリー
近年、世界的なインフレ傾向が続く中、企業における退職給付制度の制度設計および運営においても、インフレへの対応が重要な課題となっている。退職給付制度は、退職後の所得保障、論功行賞、給与の後払いや退職の抑制といった人材を確保するうえで重要な役割を持つ。その実質価値を維持することは、企業に対する信頼性の向上および従業員エンゲージメントの強化に直結し、人的資本経営の観点からも不可欠である。
本稿では、退職給付制度におけるインフレ対応を、代表的な算定方式として、日本企業で広く採用されてきた「最終給与比例制」と大企業を中心に採用が進む「ポイント制」(※1)で整理し比較する。そのうえで、人的資本経営の3つの視点(①経営戦略との連動、②企業文化への定着と周知、③As is‐To be ギャップの把握)を踏まえ、企業が今後取り組むべきインフレ対応のうち退職給付制度の設計・運営における方向性を提示する。なお、ここでの退職給付制度は確定給付型を前提としている。
(※1)算定方式には他に平均給与比例制、別テーブル方式、定額制などがある。
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