2019年12月04日
サマリー
◆優秀な人材を採用し、社員が能力を発揮できるような企業風土や職場環境を構築することは、企業の持続的な成長を実現するためには必要不可欠な要素といえる。日常業務として退職給付債務の計算業務(PBO計算)を行っていると、もっと高度な戦略が描けるのではないかと、筆者は考える。
◆本稿では、普段はあまり活用されていない「退職データ(退職率・離職率)」に焦点を当て、有効な人事戦略を策定する上でのヒントを探ってみた。具体的には、「退職データ」からのモデル化や、公表されている雇用動向調査等のデータを用いて、分析を試みた。
◆実際に計算で用いる退職率は数理的な処理により滑らかに加工したグラフとして可視化することができる。過去からの時系列データとして退職率の変化を確認することで、有効な人事施策を考える上でのヒントが見つかるかも知れない。退職率のモデル化の事例を紹介する。
◆退職給付債務の計算の際には、現時点における人員構成を把握することができる。人員構成も企業の特徴が大きく反映されるデータであるが、ここでは4つのモデルイメージを紹介する。
◆人間が体を鍛え、美しいボディを目指して努力するように、企業もまた美しいプロポーション(人員構成)を実現すべきといえる。それを実現するためには、「負の要素」と考えられがちな「退職データ」をうまく活用し、理想的な「人材の循環成長モデル」を築く必要がある。
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