2011年10月26日
- 1.PBO計算ソフトの機能面
- 改正後の会計基準でPBO等の計算を行うためには、最低限、以下の機能が必要となる。機能が備わっていないソフトを利用している場合には、ソフトの変更もしくは外部委託への切り替えが必要になる。
- 1-1.「割引率設定基準」に関して(※1)
- ・給付見込期間ごとに複数の割引率(イールドカーブ)の設定が可能であるか、もしくは金額加重平均期間の算出ができること。
- 1-2.「給付の期間帰属方法」に関して「給付算定式に従う方法」を選択する場合(※2)
- ・「給付の期間帰属方法」に関して新しい「給付算定式に従う方法」を選択する場合に、「支給倍率基準(最終給与比例制、定額制)」及び「ポイント基準(ポイント制、キャッシュバランス制)」の計算ができること。
- 2.PBO計算作業に伴う留意点
- 仮にPBO計算ソフトが上記機能を備えており、かつ退職金規程に記載の支給率を正しく入力できたとしても(※3)、会計基準改正への対応としては不完全な状態である。以下に記載の項目に関して、その対応方法を自社内で検討し、その内容について会計士の了解を得ることが必要になる。
- 2-1.「割引率設定基準」に関して(※1)
- ・PBO計算に用いる割引率は、現行では国債の応募者利回り等、利付債の最終利回りを基準として割引率を決定しているケースが多いが、改正後については割引債に基づく金利を用いることが標準的(あるべき姿)と考えられている。しかしながら長期間の割引債は、一般に発行されていないため、財務省等から公表されている利付債の金利を用いて推計することが必要になってくる。
- 2-2.給付の期間帰属方法」に関して「給付算定式に従う方法」を選択する場合(※2)
- ・給付設計や給付カーブが「著しい後加重」と判断される場合には、別途追加の補正計算が必要になる。各企業の給付カーブが「著しい後加重」に該当するか否かの判断については、退職給付制度そのものの性格や意義を検討し、定量的な分析を踏まえた上で、事前に会計士と調整を行っておく必要がある。「著しい後加重」と判断された場合には、実務面を考慮しながらも納得性の高い補正計算方法を検討することになる。
- ・給付の受給権が発生する前の期間(例えば勤続3年以上で給付が発生する場合におけるそれ以前の期間)にも同様な補正計算が必要になる(特に給与比例制の場合の支給率の入力に注意が必要)。
(※2)「退職給付会計基準の改正によるPBOへの影響は?~退職給付見込額の期間帰属方法の選択における留意点~」(2011年10月19日付コンサルティングインサイト)
(※3)PBO計算ソフト販売会社等に規約内容の登録を依頼した場合であっても同様。
(※4)社団法人日本年金数理人会「調査報告 国際会計基準(IAS19)の適用に関する海外調査と示唆」(2011年3月) 参照。
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