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株式対価M&Aの戦略的活用

イノベーション実現に向けたM&A成功の鍵は

経営コンサルティング部 主席コンサルタント 弘中 秀之

サマリー

◆M&Aの目的が多様化している。その背景として、買い手、売り手にとってM&Aを積極的に活用せざるを得ない環境となり、そしてM&Aが社会的にも意義あるものになってきたことが挙げられる。M&Aをイノベーションや、持続的な成長、中長期的な企業価値向上を実現するための手段として活用することが重要となってきている。

◆政府においても「破壊的イノベーションに対応した世界標準のイノベーションエコシステムを創り上げる」という戦略が掲げられ、産業競争力強化法の改正(2018年5月成立、7月施行)も行われた。この中の施策のひとつに、自社株式を活用したM&Aを促し、産業活動における新陳代謝を促進することが挙げられている。この改正により、売り手株主は課税繰延措置を受けることができるようになった。

◆売り手株主の課税繰延措置を利用するためには、産業競争力強化法に基づく特別事業再編計画の認定を受ける必要がある。認定にあたっては、①著しい成長発展が見込まれる事業分野の事業活動、②プラットフォームを提供する事業活動、③中核的事業へ経営資源を集中する事業活動、に限る「新事業活動」要件や、対価として交付する株式の価格(対価の額)が買い手企業の余剰資金を上回ること等の「事業構造の変更」要件等をクリアする必要があり、無条件で認定を受けられる訳ではない。

◆M&Aを実施していくには、戦略の策定、適切なスキーム選定、株価算定、デュー・デリジェンス、相手方との交渉等という旧来の論点に加え、産業競争力強化法に基づく特別事業再編計画の認定等の検討も必要になってきた。また、自社株式を対価にM&Aを行う場合で、買い手が上場会社のように金融商品取引法の適用を受ける場合は株式の募集行為に該当するため、有価証券届出書の作成等も求められる。

◆M&Aスキームの選択肢拡大は歓迎すべき事であるが、その難易度は増し、自社単独での対応が益々難しくなってきている。各分野に知見のある専門家やアドバイザーとチームを組んで実施していくことがM&A成功の鍵を握る。

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