2019年02月13日
サマリー
健康保険組合連合会(以下、健保連という。)が発表した「平成29年度健保組合決算見込の概要」によると、全国にある健康保険組合(以下、健保組合という。)の1,394組合(平成30年3月末現在)のうち全体の41.6%にあたる580組合が2017年度決算で赤字となり、また、協会けんぽの平均保険料率(10.0%)以上の組合は前年度比10組合増の314組合で、全組合の22.5%を占めていることを示している(※1)。財政状態だけでみれば、これらの健保組合では解散して協会けんぽに移行することについて議論していくことも考えられるだろう。これら健保組合財政悪化の主な要因は、高齢者医療費を補完する支援金負担が全面総報酬割に拡大されるなど、拠出金の大幅な増加である。
健保連は各健保組合の財政は今後も厳しい状態が続く見通しであり、政府に対して早急に高齢者医療費の負担構造改革等に取り組むべきであると同資料にて述べている。
全国の健保組合に対して支援金負担が重くのしかかり、健保組合が単体で財政状態の改善を行うには限界を迎えつつあるように思われる。しかしその中においても、多くの健保組合の現場では収支改善に向けて努力を続けている。以下でその手順やポイントについて、財政健全化に向けたフローを大きく分けて、①現状分析、②シナリオ検討、③施策の廃止・変更の各ステップで確認する。
(※1)「平成29年度健保組合決算見込の概要」平成30年9月25日 健康保険組合連合会
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