2015年06月08日
サマリー
◆「健康経営」(※1)の注目度が高まっている。企業の健康戦略とは、社員の健康に対する取り組みをコストではなく企業成長のための投資としてとらえる考え方である。その関心の高まりの背景には、生産年齢人口の減少、データヘルス計画の開始や健康経営銘柄選定などの国の施策の積極化、更には投資家の企業評価基準の変化があると考えられる。
◆社員の健康に対する取り組みは、現状では、健保組合主体になっており、また医療費コスト負担を減らすためのものにとどまっている。
◆プレゼンティイズム(社員が不健康な状態で働いていること)による労働損失コストは、医療費コストやアブセンティイズム(欠勤)によるコストを大きく上回っている。プレゼンティイズムの改善こそが、労働生産性の改善につながる。自社の労働損失の可視化を行い、損失コストの多い要因を取り除くことが重要。
◆日本独自の労働環境や働き方が、特にメンタル面での労働損失を大きくしている可能性がある。社員の健康を重視することは、最終的には、画一的な雇用形態や働き方から脱却し、社員に多様な働き方を提供できる組織体制や業務フロー、キャリアプランの構築することにつながるものである。
(※1)「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標。
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