求められる経営陣の意識改革(上) 〜コーポレートガバナンス・コードの事例分析〜
コード対応から見える経営陣の「株主からの信任」に対する意識の差
2016年04月01日
サマリー
◆コーポレートガバナンス・コードの開示が3月決算企業を中心に昨年12月末で一旦は出揃った。東証1部、TOPIX500、TOPIX100別に分析したところ、時価総額の大きい企業ほどコンプライする比率が高かった。ガバナンスに携わる人的資源やガバナンスに対する意識の違いが影響していると思われる。
◆全体的には形式的な対応が多い印象があるものの、単なる項目毎の開示にとどまらず、コーポレートガバナンス・ガイドラインの公表や、ストーリー性のある開示を行うなど、株主・投資家との対話を意識した「工夫」を行っている事例も見られた。
◆本稿においては、主な原則・補充原則別のうち投資家の関心の高い「原則1-3(資本政策の基本方針)」及び「原則1-4(政策保有株式)」について、論点整理及び事例分析を行った。その結果、一部の企業においては、採用する管理指標や保有意義の検証方法等、丁寧な説明を行っていることがわかった。
◆コーポレートガバナンス・コード対応の初年度においては「形式的な整備」に終始し、議論ができなかった企業もあっただろう。2年目においては、ガバナンスの「実質性」をどのように担保していくかが課題であり、株主からの「信任」を意識して取締役会で議論することが求められている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
関連のサービス
最新のレポート・コラム
-
2022年08月10日
アメリカ経済グラフポケット(2022年8月号)
2022年8月8日発表分までの主要経済指標
-
2022年08月09日
企業に求められる人的資本と企業戦略の紐づけ、および情報開示
有価証券報告書における情報開示は実質義務化?
-
2022年08月08日
非農業部門雇用者数は前月差+52.8万人
2022年7月米雇用統計:雇用環境は堅調、労働需給はタイトなまま
-
2022年08月05日
2022年6月消費統計
感染状況の落ち着きから、緩やかな回復基調を維持
-
2022年08月10日
多様化時代の金融サービス業のあり方
よく読まれているコンサルティングレポート
-
2022年03月31日
コロナ禍における消費行動の変化
購買チャネルの変化から見る消費行動の変化
-
2022年06月07日
人的資本に関する政府動向と統合報告書の開示事例
「人材版伊藤レポート2.0」の視点をふまえた統合報告書の開示
-
2022年07月27日
コロナ禍における持株会社化の動向
-
2022年07月07日
低・脱炭素経済に向けた移行計画
~企業に求められるサステナビリティと事業戦略の融合~
-
2022年07月22日
人事データを活用した退職給付制度の人的資本対応
~変革する人材戦略に退職給付制度を対応させるには~