企業の収益動向だけでなくガバナンスの良し悪しも投資判断の材料とする投資家は少なくない。具体的には株主や債権者の利益を最大化する経営が行われるような仕組みが企業の中に構築されているか、また、それに関する情報が適切に公表されているかを吟味して投資判断に組み入れていく。しかし、投資対象となり得る多くの企業に対してこのような判断を下していくには、多大な時間とコストが必要だ。そこで、企業のガバナンスの良し悪しを評価して、その情報を投資家向けに販売するビジネスが成立する。投資情報の提供業者が、企業ごとにガバナンスの良し悪しを採点したり、格付けしたりしているのである。
コーポレートガバナンス格付けは、GovernanceMetrics International (GMI)が2000年に開始しその後2002年にInstitutional Shareholder Services (ISS)のCorporate Governance Quotient、Standard & Poor's のCorporate Governance Scoresなどが続き、さらに同種の格付けが続々と公表されている。最近では、FTSE4Good ESG Ratingsが環境や社会問題と並びガバナンスを考慮に入れた採点に基づきランキングを作成しはじめた。
日本企業のコーポレートガバナンス格付けは、かなり低いところにある。例えば、GMIが公表しているCountry Rankingsでは39カ国中36位(2010年9月)であるし、FTSE4Good ESG Ratingsでも日本は世界平均以下25カ国中20位(2011年3月)だ。
(2011年7月8日掲載)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日