米国経済見通し 議会動向と国際情勢に注目

金融政策の変更時期にも影響を及ぼす

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2015年02月20日

  • 土屋 貴裕

サマリー

◆オバマ大統領の一般教書演説と予算教書は、格差の是正を目指し、原資として富裕層や大企業への増税を行うなどとした。全般にリベラルな内容で、多くは共和党が賛成するとは考えにくいが、共和党は2016年の選挙をにらんだ政権担当能力を示す必要がある。


◆2月末で国土安全保障省関連の予算が切れることに対応しなければならない。3月15日には連邦政府の債務上限を一時撤廃していた期限を迎え、財務省によるやり繰りは9月か10月まで可能だとされるが、10月から始まる新年度の予算措置が必要となる。


◆金融政策については、2015年の1月のFOMC(連邦公開市場委員会)で実質上のゼロ金利政策を維持し、政策の維持に「忍耐強くなれる」とした。6月に利上げ開始であれば、3月のFOMCで「忍耐強く」という文言の修正が想定される。


◆雇用者数の増加基調が強まり、賃金が上昇して雇用環境の改善が進んでいる。賃金上昇は企業が求めるスキルを持つ労働者が中心であっても続くとみられ、悪天候などで回復に一服感が見られた消費や住宅市場の回復トレンドは続くだろう。


◆1月のFOMCで声明文に「国際情勢」が追記されたように、ドル高、世界経済の減速などは、緩やかな回復トレンドにある企業活動を鈍らせる可能性がある。外部環境の動向にかかわらず労働市場の堅調な改善が持続し、インフレ率を押し上げるかが論点となろう。

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