米国経済見通し 円滑な緩和縮小が重要に

寒波で経済指標は軟調でもマインドは冷え込んでいない

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2014年02月20日

  • 土屋 貴裕
  • 笠原 滝平

サマリー

◆悪天候を背景に軟調な経済指標が相次いでいる。自動車販売などの個人消費が落ち込み、企業活動も精彩さを欠く。ただし、マインド面では、消費者センチメントや企業マインドは低下したものの、なおポジティブさを失っていない。


◆連邦政府の債務上限が2015年3月まで一時撤廃され、2014年度予算の成立と合わせて当面の財政関連の課題は解決した。2015年度予算が議論の対象となるまで、しばらくの間、財政問題が米国経済の足を引っ張る可能性は大きく低下した。


◆中間選挙に向け、民主・共和両党の支持が拮抗してきた。共和党が現実路線に軌道修正する一方、民主党はオバマケアに関するトラブルで支持を失った可能性がある。一般教書におけるオバマ大統領の議会への要請は控えめで、議会との対立が深まり「決まらない政治」になる懸念がある。円滑な金融緩和の縮小がより重要性を増していると言える。


◆1月のFOMCでは資産買い入れ規模を2会合連続で減額し、議事録からは、毎会合で100億ドルずつ減らす方向性が示されている。経済見通しが大きく変わらない限り、ゼロ金利政策の継続期間の指針であるフォワードガイダンスの変更に焦点は移っている。


◆フォワードガイダンスの変更は、これまで同様に定量的とするか、定性的なものとするか、意見が分かれている。その信頼性を保つためにも頻繁な変更は避けるべきであり、新たなFOMC参加者の意見を含めて、市場の信認を得る内容が求められることになる。

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