FOMC:不透明感低下した米国の金融政策

資産買い入れ規模(QE3)の縮小開始が決まる

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2013年12月19日

  • 土屋 貴裕
  • 笠原 滝平

サマリー

◆12月17日から18日にかけて開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)でQE3の資産買い入れ規模を、2014年1月から縮小することが決定された。月あたりの購入額が100億ドル減額される。背景は、財政の逆風にもかかわらず、雇用環境や個人消費などの改善が続いたことだと考えられる。


◆声明文の現状認識に大きな変更はなく、若干の上方修正という印象である。FOMC参加者の経済見通しや利上げ時期の想定も前回と大きな違いはなかった。フォワードガイダンスに微修正が加えられており、足下のディスインフレ傾向が続けば利上げ時期は先送りされる可能性もある。


◆2014年は資産購入額の減額が続くと予想される。経済の動向次第ということは変わらないが、減額ペースの想定ができることは不確実性の後退で、米国経済の大きなリスクとはなり難い。労働市場やインフレ動向がFOMC参加者の想定を大きく外れた場合を含め、フォワードガイダンスの修正が的確に行えるかどうかがポイントとなろう。


◆2014年はFOMC参加者の顔ぶれが大幅に変わり、タカ派と見られる地区連銀総裁が輪番制で投票権を得る。しかし、イエレン副議長の後任や数名の理事などの人事が未定である。かじ取り役が決まっていないことは、フォワードガイダンスを用いる金融政策にとって、大きな不透明感要因と言えるだろう。

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