雇用環境は大幅改善

2013年11月の米雇用統計:質的改善の始まりか

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2013年12月09日

  • 笠原 滝平

サマリー

◆2013年11月の非農業雇用者数は10月から増加幅が拡大し、2ヵ月連続で前月差20万人台の増加となった。増加ペースの前月差の6ヵ月平均は18万人程度と増加ペースの加速が示された。


◆業種別に見ると、民間・サービス部門が引き続き全体の雇用者数増加をけん引。民間・生産部門で増加幅の拡大が続いており、雇用増加の裾野の広がりが示唆される内容であった。また、連邦政府は減少が続いたものの、州・地方政府の増加により政府部門における雇用削減圧力の厳しさが和らいでいる。


◆労働参加率が上昇したが、就業者数が大幅に増加したため、失業率は7.0%と10月から0.3%ポイント低下した。労働時間や賃金は改善しており、経済的理由のパートタイム労働者の減少などによって広義の失業率も大幅に低下した。


◆雇用環境の改善ペースが加速しており、QE3縮小開始へ一歩近づいた印象がある。ただし、2014年初めからは暫定予算の失効や連邦政府の債務上限期限を迎える予定など再び財政問題が経済回復を下押しする可能性がある。また、ディスインフレ傾向が鮮明になってきている。そのため、焦ってQE3縮小を開始する必要はないのではないだろうか。

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