サマリー
◆FRBの融資担当者調査によれば、足下の住宅ローン需要の低下が見られた。新築・中古住宅販売の増勢にも陰りが見られ、住宅市場の腰折れが懸念する見方もある。
◆住宅取得可能指数は住宅ローン金利や住宅価格の上昇によって低下している。特に、家計所得の増加ペースが伸び悩む中、住宅価格の上昇ペースが速すぎることが、住宅需要を抑制している原因だと考えられる。
◆ただし、米国は人口が増え続けている国で、世帯数も増加しており、住宅需要の下支えになっているだろう。また、Fannie Maeの調査によれば、住居を変える場合、賃貸を選ぶ割合より購入を選ぶ割合の方が大きく、かつ購入派が増加している。
◆住宅需要の弱含みは、供給力不足による住宅価格の上昇ペースが速すぎたことなどが考えられる。住宅ローン金利の大幅な低下などによって喚起された住宅需要に対して、中古住宅市場では、価格先高感による売り惜しみ、新規の住宅建設では、熟練労働者の不足などが、供給体制の制約となってきた可能性が指摘できる。
◆新規の住宅建設も徐々に進み、供給増によって価格上昇圧力は緩和され、中古住宅の売却が進むだろう。潜在需要を満たす住宅供給は増える見込みで、需給バランスが回復し、今後の住宅市場は緩やかな回復軌道に復することを想定している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+2.2万人
2025年8月米雇用統計:雇用環境の悪化が継続し、利下げが近づく
2025年09月08日
-
米国経済見通し 景気下振れの懸念強まる
雇用環境が悪化傾向を示す中、屋台骨の個人消費は楽観しづらい
2025年08月22日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日