米国経済見通し 政策不透明感VS民間部門

自律的回復は続くが、財政問題が長引き繰り返されることは懸念材料

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2013年10月18日

  • 土屋 貴裕
  • 笠原 滝平

サマリー

◆10月1日以降、一部の連邦政府機関が閉鎖された。債務上限問題を含め、土壇場で妥協案が成立したため当面の問題は回避され、経済的な影響はネガティブながら軽微なものと考えられよう。ただし、年末年始にかけて、再び話題になる可能性は高い。財政政策の不透明感は続くだろう。


◆次期FRB議長にイエレン副議長が指名され、現行政策との継続性が期待されるが、実際にどのような対応を行うかはまだわからない。2014年からFRB理事や投票権を持つ地区連銀総裁が変わることも踏まえると、金融政策にも不透明感がある。


◆政策不透明感を背景に、家計のマインドは先行き判断を中心に悪化した。しかし、バランスシート調整が進み、不十分ながら改善傾向の雇用環境、良好な金融環境によって、住宅や自動車への潜在需要が顕在化し、労働市場との間での自律的な回復に至っている。


◆9月のFOMC議事録では、企業は慎重な姿勢を崩していないと評価され、景況感は改善しつつも、政策不透明感などから、積極的に活動規模を拡大させていない。世界経済の回復ペースの鈍化も示唆され、企業部門の回復は緩やかなままだろう。


◆当面の米国経済は、民間部門の自律回復というトレンドに対し、政策の不透明感がどの程度影を落とすか、という綱引きになるだろう。不透明感の後退で様々な投資活動の拡大が期待できるが、財政問題は、2014年の中間選挙かその先まで長引く可能性がある。

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