サマリー
◆今年10月にインドネシアで開催されるAPECサミットで、TPP交渉が合意に達することが期待される。米国は、雇用を創出・維持するために、自国の競争力を高めアジア・太平洋地域との貿易拡大を求めている。そのために、包括的かつ高度な自由貿易協定としてTPP交渉の妥結を目指している。
◆米国は、TPP交渉参加国のうちの6ヵ国と既にFTAを締結しているが、TPP交渉参加国の中で、FTA非締結国のマレーシアとベトナムに対しては、人口も多く、近年における急速な経済成長が著しいことから、貿易及び投資の増加につながるものと期待している。
◆主な論点として、米国はニュージーランド産乳製品の米国への市場開放制限を求める反面、米国産乳製品のカナダへの市場開放を要求している。砂糖に関しては、米国は新たな市場開放に反対している。ベトナムは米国市場での繊維製品の販売拡大を期待するが、米国内の繊維産業はこれを阻止したい一方で、アパレルや小売業界は賛成意見である。
◆知的財産権の保護については、医薬品などでその価格決定方法や、医薬品の市場流通に向けて、特許保護などの仕組みをどの程度厳格化するかが論点となっている。研究開発投資と手頃な価格、先進国と途上国のバランスが必要であり、難しい論点になっている。
◆TPPに対する期待は大きい反面、米国内でも、交渉参加国との間でも、様々な意見が飛び交い、TPP交渉を達成することは困難ともみられる。しかし、TPP交渉参加国は自国の利益となるが故に交渉に参加している。TPP交渉を自国の抱える問題を解決する梃子にできるかがポイントとなろう。交渉妥結に向けて、問題の解決を期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国:AI関連投資の持続性を左右する3つの要因
①ハイパースケーラーの収益化志向、②「循環資金」が内包するリスク、③レバレッジ型ETFによる変動拡大
2026年07月09日
-
雇用者数は前月差+5.7万人と減速
2026年6月米雇用統計:失業率は低下も、労働力人口の急減が主因
2026年07月03日
-
米国:AI活用は続くが、「選別」も本格化へ
「選別」は過剰投資を抑制も、信用リスク・資産価格への波及に注意
2026年06月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

