米雇用環境の改善ペース鈍化は一時的?

2013年3月雇用統計:財政問題による影響がじわり

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2013年04月08日

  • 笠原 滝平

サマリー

◆2013年3月の非農業雇用者数は前月差8.8万人増、9ヶ月ぶりに10万人台の増加幅を下回り、市場予想も大幅に下回った。過去2ヶ月分は6.1万人の上方修正であったが、3月の増加幅縮小を補うほどではなかった。


◆分類別にみると、政府部門は再び減少に転じた。歳出の強制削減が決まったことなどにより今後も雇用削減ペースは加速する可能性がある。また、民間部門も幅広い業種で雇用者数の増加幅が縮小、あるいは減少した。住宅市場のボトルネックや財政問題による影響が散見される内容であった。


◆失業率は2月から0.1%ポイント低下し、7.6%となった。しかし、失業率低下の要因は労働参加率の低下であり、必ずしも雇用環境の改善を示す内容ではなかった。非農業雇用者数の増加幅が大幅に鈍化したことも併せて、金融政策の資産買い入れの規模縮小に関する議論は今後に持ち越される可能性があるだろう。

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