アメリカの雇用・賃金ともに伸び悩みが続く

雇用の先行きは晴天ではなく、光を遮る雲が多数残っている

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2012年05月09日

  • 笠原 滝平

サマリー

◆アメリカ経済を見通す上で、雇用環境は特に重要なファクターである。非農業雇用者数の増加や週平均労働時間などを確認すると足下の雇用環境は緩慢ながら改善傾向にあると判断できる。

◆失業期間の長期化により失業者の質の低下が懸念される。さらに業種間で雇用改善に格差が生じている。生産部門は総じて弱く、民間サービス部門に関しても情報サービスや金融など出遅れている業種が目立つ。

◆相対的に労働生産性が低い民間サービス部門に偏って雇用者数が増加しているため、全体の賃金が伸び悩む可能性がある。さらに、医療費や退職金などの増大によって賃金以外のコストは増加傾向にあることも賃金の伸びを抑制する要因となるだろう。

◆アメリカの雇用環境は改善が続く見込みだが、そのペースは緩慢なものにとどまるだろう。

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