2012年アメリカの消費は労働・住宅市場がカギ

2011年のクリスマス商戦はまずまずの内容

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2012年01月18日

  • 笠原 滝平

サマリー

◆アメリカ経済に占める個人消費の割合は、GDPの約70%と非常に大きく、GDPの変動が個人消費に左右されることも多くある。

◆中期で見る個人消費は足下で雇用者数が増加傾向にある。そのため欧州危機やアメリカの財政危機などにより急激に雇用者数が減少しない限り、今後の賃金は時給の改善も伴って息の長い回復期に入るだろう。

◆短期で見る個人消費はこれまでのように消費性向による改善が続くことを期待できない。今後は労働市場の改善による雇用者数の増加が個人消費改善のカギとなるだろう。

◆財別に見ると、足下の消費が緩慢な回復を示しているのはサービス消費の伸びが軟調であるためだ。特に住居関連サービスが伸び悩んでいる。住宅市場の改善に伴って住居関連サービスが増加することが、消費本格改善のカギとなるだろう。

◆2011年12月の小売売上を確認すると、前年比+6.5%と前年を上回ったものの、前月(同+7.0%)から伸びは鈍化した。また、前月比は+0.1%と期待されていたより弱い結果となった。ただし、11月も含めてクリスマス商戦を見ると、11月の小売売上が堅調だった点や、業界団体であるNRF(National Retail Federation)の発表では事前の予想を上振れて好調であったことなどを含めて考えると、2011年のクリスマス商戦はまずまずの結果であったと言えるだろう。

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