サマリー
◆2023年は、日本経済にとって前向きな変化が多く見られた一年であった。経済正常化が大幅に進み、賃上げや価格転嫁が加速した。もっとも、物価高に賃上げが追い付かず、実質賃金は前年比マイナス圏で推移した。中東情勢やウクライナ情勢が緊迫する中、金融引き締めが続く米国経済が想定以上に堅調に推移したことは日本経済を下支えした。2023年の日本の実質GDP成長率は+2.1%となる見込みだ。
◆2024年の実質GDP成長率は+1.3%と見込んでいる。「成長のゲタ」を除くと+0.9%であり、実態としては緩やかな回復を想定している。経済正常化の「伸びしろ」が残っていることに加え、春闘での賃上げ率の前年超え、政府の総合経済対策の効果発現、実質賃金の前年比プラスへの転換などが経済の下支え・押し上げ要因となる。日本銀行は2024年4月にイールドカーブ・コントロールの撤廃とマイナス金利政策の解除に踏み切るとみている。ゼロ金利政策へ移行し、緩和的な金融環境は当面維持されるだろう。
◆2024年は引き続き海外経済を中心に下振れリスク要因が多い。具体的には、①米銀行の貸出態度の厳格化による米国景気の大幅な悪化、②中東情勢・ウクライナ情勢の緊迫化、③中国の過剰債務問題の顕在化、④米中対立の激化(経済安全保障リスクの発現)などが挙げられる。原油価格が150ドル/バレルに上昇し、ドル円レートが120円/ドルに増価すると、日本の実質GDPへの影響(年間ベース)はそれぞれ▲0.6%、▲0.7%と試算される。テールリスクではあるが、米国や中国で金融環境が急激に悪化すると、日本など多くの国でマイナス成長に転じる恐れもある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2026年7月号(No.476)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2026年06月24日
-
地政学的緊張が促すAI開発競争
2026年06月24日
-
日本経済見通し:2026年6月
覚書後の中東情勢の影響とAI需要の下支え/消費減税と所得連動給付
2026年06月23日
最新のレポート・コラム
-
中間配当の導入は株価を動かすか
開示直後は好感されるも、効果のインパクトや持続力は弱い
2026年07月17日
-
経済産業省「公正な買収の在り方に関する研究会」による企業買収行動指針のポイント・Q&A(案)
指針の趣旨を明確化~「企業価値」や「望ましい買収」とは?~
2026年07月17日
-
「トランプ口座」始動、未来の株主多数輩出
口座開設、「収益獲得」ではなく「次世代投資家との接点」
2026年07月17日
-
データサイエンスを踏まえた年金数理理論の人的資本分析への発展可能性
新たな退職率算定方法による退職要因分析への応用
2026年07月17日
-
AI時代の競争力を生むのは誰か? ~シリコンバレーとシアトルが示す「人材エコシステム」の力~
2026年07月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

