サマリー
◆経済見通しを改訂:2016年10-12月期GDP二次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2016年度が前年度比+1.4%(前回:同+1.3%)、2017年度が同+1.4%(同:同+1.3%)、2018年度が同+1.1%(同:同+1.1%)である。先行きの日本経済は、①輸出の持ち直し、②在庫調整の進展に加えて、③底堅い消費・設備投資に支えられた内需の回復により、バランスの取れた成長軌道へと移行する見通しだ(→詳細は、熊谷亮丸他「第192回 日本経済予測(改訂版)<訂正版>」(2017年3月9日)参照)。
◆「グレートローテーション」は継続するか?:現状、世界的なマネーの流れは、債券から株式へとシフトする「グレートローテーション」の様相を呈している。これは、FRBが2015年12月から利上げ局面に入ったことで長期金利が上昇を続ける一方、世界的な景気の回復により株高が継続しているために起きている。グレートローテーションは、景気が下降し、株式相場が調整局面に入ると終了する。今後グレートローテーションが継続するか否かを占うメルクマールとしては、①世界経済の成長率が上方修正されるか、②銅価格が上昇するか、③米国の通貨当局がドル安政策を取るか、という3点に注目したい。
◆日本経済のリスク要因:今後の日本経済のリスク要因としては、①トランプ大統領の政策、に加えて、②中国経済の下振れ、③米国の「出口戦略」に伴う新興国市場の動揺、④地政学的リスクおよび政治リスクを背景とする「リスクオフ」、⑤英国のEU離脱交渉や欧州金融機関のデレバレッジ、の5点に留意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2025年5月号(No.462)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年04月24日
-
「相互関税」騒動と日本の選択
2025年04月24日
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日