日本経済見通し:「グレートローテーション」は持続するか?

①世界経済見通し、②銅価格、③米国通貨戦略に注目

RSS

2017年03月21日

  • リサーチ本部 副理事長 兼 専務取締役 リサーチ本部長 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸
  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 岡本 佳佑
  • 小林 俊介
  • 前田 和馬
  • デジタルソリューション研究開発部 田中 誠人

サマリー

経済見通しを改訂:2016年10-12月期GDP二次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2016年度が前年度比+1.4%(前回:同+1.3%)、2017年度が同+1.4%(同:同+1.3%)、2018年度が同+1.1%(同:同+1.1%)である。先行きの日本経済は、①輸出の持ち直し、②在庫調整の進展に加えて、③底堅い消費・設備投資に支えられた内需の回復により、バランスの取れた成長軌道へと移行する見通しだ(→詳細は、熊谷亮丸他「第192回 日本経済予測(改訂版)<訂正版>」(2017年3月9日)参照)。


「グレートローテーション」は継続するか?:現状、世界的なマネーの流れは、債券から株式へとシフトする「グレートローテーション」の様相を呈している。これは、FRBが2015年12月から利上げ局面に入ったことで長期金利が上昇を続ける一方、世界的な景気の回復により株高が継続しているために起きている。グレートローテーションは、景気が下降し、株式相場が調整局面に入ると終了する。今後グレートローテーションが継続するか否かを占うメルクマールとしては、①世界経済の成長率が上方修正されるか、②銅価格が上昇するか、③米国の通貨当局がドル安政策を取るか、という3点に注目したい。


日本経済のリスク要因:今後の日本経済のリスク要因としては、①トランプ大統領の政策、に加えて、②中国経済の下振れ、③米国の「出口戦略」に伴う新興国市場の動揺、④地政学的リスクおよび政治リスクを背景とする「リスクオフ」、⑤英国のEU離脱交渉や欧州金融機関のデレバレッジ、の5点に留意が必要だ。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート