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日本経済見通し:(1)経常収支赤字化、(2)ギリシャ問題を検証

メインシナリオでは緩やかな景気拡大を見込むが、景気下振れリスクに要注意

2012年05月24日

リサーチ本部 副理事長 兼 専務取締役 リサーチ本部長 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸

サマリー

経済見通しを改訂:2012年1-3月期GDP一次速報を受け、2012-13年度の成長率見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2012年度が前年度比+2.3%(前回:同+1.9%)、2013年度が同+1.3%(同:同+1.4%)である。今後の日本経済は、メインシナリオとして、(1)東日本大震災発生に伴う「復興需要」、(2)米国・中国を中心とする海外経済の持ち直し、(3)日銀の追加金融緩和が見込まれること、という「三本の矢」に支えられて、緩やかな景気拡大が続く見通しである(→詳細は、熊谷亮丸他「第173回日本経済予測(2012年5月22日付)」参照)。

日本経済の中長期的リスク:「経常収支赤字化」:今回のレポートでは、日本経済が抱える様々なリスク要因を多面的に検証した。日本経済が抱える中長期的なリスク要因は「経常収支赤字化」である。当社は、わが国の中長期的な経常収支の動向に関する定量的なシミュレーションを行った。基本シナリオでは、2020年時点でわが国の経常収支は24兆円程度の黒字を維持する見通しである。リスクシナリオとして、円高、原油高、世界経済の悪化などが複合的に発生するケースでも、よほど劇的な変化が起きない限り、わが国の経常収支は容易には赤字化しない公算である。ただし、製造業の海外流出が加速し「悪い空洞化」が進行する場合には、将来的な経常収支赤字化の可能性が高まるものと考えられる。わが国の政策当局は、将来的な日本経済を取り巻く環境の激変を念頭に置き、経済の「供給サイド」の政策と、財政再建を中核に据えた適切な政策対応を講じる必要がある。

日本経済の短期的リスク:ギリシャのユーロ離脱など:2012-13年度にかけて日本経済が抱えるリスク要因としては、(1)ギリシャのユーロ離脱などを受け「欧州ソブリン危機」が深刻化、(2)地政学的リスクなどを背景とする原油価格の高騰、(3)円高の進行、(4)原発停止に伴う生産の低迷、の4点に留意が必要である。今回のレポートでは紙幅の関係もあり、特に重要性が高い上記(1)についてのみ、詳細な分析を行うこととしたい。欧州諸国の国債のヘアカット率に関する3つのシナリオを設定した上で、日本経済に与える影響を算定したところ、最悪のケースでは、わが国の実質GDPは4%以上押し下げられるリスクがある。今後、ギリシャのユーロ離脱などをきっかけに「欧州ソブリン危機」が深刻化した場合、日本経済が「リーマン・ショック」並みの打撃を受ける可能性を否定し得ない。

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