サマリー
2019年4月に働き方改革関連法の一部が施行されてから5年が経過した。この間に日本経済は新型コロナウイルス禍(コロナ禍)に見舞われ、企業は関連法への対応だけではなく雇用維持にも積極的に取り組んだ。
2023年度にはコロナ禍の影響はすでに一巡したとみられる。そこで2018~23年度における働き方改革の進展が潜在GDPに及ぼした効果を試算すると、+1.7~2.6%となった。労働供給は男性側での長時間労働の是正が下押し要因となった一方、女性雇用の拡大がその影響の大部分を相殺した。労働生産性は正規雇用者比率の上昇や高生産性産業への労働移動などが上昇に寄与した。
働き方改革を進めていくことで、今後も女性の就労拡大を通じた労働供給の増加などが期待できよう。ただし、家事・育児の分担などでの性別役割分担意識は根強く、女性就労拡大の重しとなりうる。また、労働生産性には高生産性産業への労働移動を通じた向上の余地もあり、「三位一体の労働市場改革」などに着実に取り組んでいくことが必要だ。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
-
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日