働き方改革の経済効果と今後の課題

~2018~23年度の潜在GDPを1.7~2.6%押し上げ~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載

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2024年07月24日

サマリー

2019年4月に働き方改革関連法の一部が施行されてから5年が経過した。この間に日本経済は新型コロナウイルス禍(コロナ禍)に見舞われ、企業は関連法への対応だけではなく雇用維持にも積極的に取り組んだ。

2023年度にはコロナ禍の影響はすでに一巡したとみられる。そこで2018~23年度における働き方改革の進展が潜在GDPに及ぼした効果を試算すると、+1.7~2.6%となった。労働供給は男性側での長時間労働の是正が下押し要因となった一方、女性雇用の拡大がその影響の大部分を相殺した。労働生産性は正規雇用者比率の上昇や高生産性産業への労働移動などが上昇に寄与した。

働き方改革を進めていくことで、今後も女性の就労拡大を通じた労働供給の増加などが期待できよう。ただし、家事・育児の分担などでの性別役割分担意識は根強く、女性就労拡大の重しとなりうる。また、労働生産性には高生産性産業への労働移動を通じた向上の余地もあり、「三位一体の労働市場改革」などに着実に取り組んでいくことが必要だ。

大和総研調査季報 2024年夏季号Vol.55

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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