サマリー
本稿では、新型コロナウイルス禍以降のインバウンド消費の特徴を整理した上で、政府のインバウンド推進計画の達成に向けた課題を検討した。加えて、為替レートに関するシナリオ分析を通じてシナリオ別にインバウンド消費の見通しを示し、政府目標達成の確度を評価した。
経済正常化の一段の進展や円安の進行もあり、インバウンド消費は大きく増加している。さらなるインバウンド消費拡大には、観光の質の向上が重要だ。とりわけ、日本独自の観光コンテンツを体験する「コト消費」の増加がカギを握る。訪日外国人旅行者数や一人当たり旅行消費額などについては、政府目標水準が掲げられている。円高リスクが燻る中、目標達成に向けては為替の変動に左右されにくいインバウンド消費の構造を目指す必要がある。具体的には、為替弾性値の低い欧米からの訪日外国人数の増加や、コト消費を含むサービス消費の一人当たり消費額の増加などが挙げられる。
政府は「訪日マーケティング戦略」を2023 年6月に策定し、2025 年度にかけて実行していく方針だが、こうした取り組みが上手く機能するか、今後の動向を注視する必要がある。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2025/7/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年07月02日
-
2025年6月日銀短観
業況判断DI(最近)は底堅いが、先行きへの強い警戒が示された内容
2025年07月01日
-
2025年5月鉱工業生産
生産用機械工業などの増産で上昇も市場予想を大幅に下回る結果
2025年06月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日