サマリー
◆2021年10月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.1%と、上昇率は前月から横ばいであった。エネルギーを中心とした非耐久消費財が全体を押し上げる一方、サービスが下押しする、という構図が続いている。足元のコアCPIを下支えしている主因がエネルギーである点を差し引いてみれば、物価の基調は全体としては足踏み状態にあるといえよう。
◆10月のコアCPIの前年比変化率の内訳を見ると、非耐久消費財、特に「電気代」や「都市ガス代」といったエネルギー関連が全体を押し上げた。一方、足元の主要な下押し要因であるサービスでは、前月に比べ更に下押し圧力が強まった。「通信料(携帯電話)」による下押し圧力の増大が、「宿泊料」による押し上げ圧力の増大を上回ったことが主因だ。
◆コアCPIの前年比変化率は、様々な要因が混在しつつも、緩やかな上昇を続けるとみている。当面の上昇要因としては、商品市況の高騰を受けた企業の生産コスト上昇が販売価格に転嫁されることが挙げられる。一方マクロの需給バランスの回復の鈍さや、携帯電話通信料引き下げの影響、Go Toトラベル事業の再開が下押し要因となろう。
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