サマリー
◆2020年は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため世界中で出入国制限が敷かれ、ヒトの移動が大幅に制限された。日本の外国人労働者数は、20年には前年比での増加幅が大きく縮小したが、医療・福祉分野ではこれが拡大したことが注目される。
◆医療・福祉に従事する外国人労働者を在留資格別で見ると、20年には「技能実習(介護)」が前年比+97.4%と突出した伸びを記録した。介護関係職種の有効求人倍率(パート含む常用)はコロナショックの影響がほとんど見られず、高水準で推移している。この強い労働力需要が、医療・福祉の中でも特に介護(に従事する技能実習)が大きく増加した要因の一つであろう。
◆もう一つの要因として考えられるのは、政府が介護人材の確保策として外国人労働者の受け入れを推進していることである。政府は、「介護」、「技能実習(介護)」、「特定技能」の在留資格を創設し、介護人材として従事するための入り口を拡充した。さらに、これら在留資格間の変更を認める、また変更しやすくすることで、外国人介護人材の日本への定着を図っている。
◆もっとも、労働力不足解消のために創設された「特定技能」、そして介護福祉士資格を持つ「介護」は受け入れ人数が伸び悩んでいる。今後、政府は「特定技能」及び「介護」の在留資格保持者を増やすための対策をより徹底することが求められよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日