2020年12月鉱工業生産

生産指数は自動車需要の一服などで2ヶ月連続の低下

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2021年01月29日

  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

サマリー

◆2020年12月の生産指数は前月比▲1.6%と低下し、伸び率は市場コンセンサス(同▲1.5%)をわずかに下回った。生産指数は10月まで堅調な回復傾向をたどっていたが、11月以降は回復が一服した。業種別に見ると、汎用・業務用機械工業や自動車工業、電気・情報通信機械工業などが低下に寄与した。10月まで生産指数の回復を牽引してきた自動車工業は2ヶ月連続で低下しており、国内外でのペントアップ需要が一服したとみられる。

◆2021年1月以降の生産は回復傾向に転じるだろう。製造工業生産予測調査によると、1月は前月比+8.9%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同+4.4%)と、大幅な上昇が見込まれている。背景の一つには、中国の春節休暇が2月中旬から始まることを受け、直前の1月に同国向け駆け込み輸出が発生するとみられることがある。業種別では電子部品・デバイス工業や、生産用機械工業、汎用・業務用機械工業といった資本財関連業種などで上昇が見込まれている。一方、2月の見通しは同▲0.3%となっている。一部メーカーでの半導体不足を受けた自動車の減産の影響が2月の予測値に十分に織り込まれていない可能性があることには注意が必要だ。

◆2021年2月5日公表予定の2020年12月分の景気動向指数は、先行CIが前月差▲1.5ptの94.9、一致CIは同▲1.2ptの87.8と予想する。この見通しに基づくと、一致CIによる基調判断は現在の「下げ止まり」に据え置かれる。

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