サマリー
◆持続的な経済成長の実現にはR&D投資を通じた生産性の向上が不可欠である。国内企業を対象にパネルデータ分析を行ったところ、R&D投資は日本の生産性向上にプラスの効果をもたらしてきたことが示唆される。
◆コロナ禍による景気悪化は遅行的にR&D投資を減少させることが予想される。先行研究によれば、景気後退期には企業を取り巻く金融環境がR&D投資に影響を与える。この点、政府と日本銀行は大規模な資金繰り支援策を実施しているため、R&D投資の大幅な減少は避けられるとみられる。
◆日本のR&D投資の構造的な課題は、投資の効率性が国際的にみて低いことである。背景の一つには、オープンイノベーションが十分でないことがある。日本企業のオープンイノベーションの障壁としては、経営層がその意義や目的を理解していないこと、専用の部署が設置されていないこと、人員や予算が十分に確保されていないことが指摘されている。このような課題を解決し、オープンイノベーションの成功事例を増加させれば、日本社会全体でその意義が広く認識され、多くの企業で導入が進むだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年10月貿易統計
トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要
2025年11月21日
-
2025年10月全国消費者物価
サービス価格や耐久消費財価格の上昇が物価上昇率を押し上げ
2025年11月21日
-
中国の渡航自粛要請は日本の実質GDPを0.1~0.4%下押し
今後は対中輸出などへの波及に要注意
2025年11月21日

