サマリー
◆12月の日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は▲10%pt(前回差+17%pt)、大企業非製造業では▲5%pt(同+7%pt)と、いずれも9月の前回調査から改善し、市場予想を上回った。国内外で景気の回復基調が継続していることなどを受け、幅広い業種で事業環境が改善した。ただしDIの水準に注目すると、製造業、非製造業ともにコロナショック前(19年12月調査)を下回る。
◆業況判断DI(先行き)は、大企業製造業が▲8%pt(今回差+2%pt)、大企業非製造業が▲6%pt(同▲1%pt)である。足元で新型コロナウイルス感染拡大が深刻化しているが、その影響を強く受ける「宿泊・飲食サービス」、「対個人サービス」で改善が見込まれている点には注意が必要である。今回調査の回収基準日は11月27日であり、足元の感染状況が十分に反映されていない可能性がある。
◆2020年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比▲3.9%と、前回調査(同▲2.7%)から下方修正された。通常、12月日銀短観の設備投資計画では上方修正されるという統計上のクセがあるものの、今回は異なるパターンとなった。企業規模別に見ると、とりわけ大企業の設備投資計画が下方修正された。中小企業では例年通り上方修正されたものの、修正幅は例年より小幅に留まった。感染拡大が長期化する中、企業の設備投資に対する慎重姿勢が継続していると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年5月全国消費者物価
米価格の上昇が他の食料品や外食など関連品目の価格にも波及
2025年06月20日
-
2025年5月貿易統計
輸出数量は横ばい圏を維持も、円高効果等で輸出額は8カ月ぶりに減少
2025年06月18日
-
2025年4月機械受注
民需(船電除く)は減少し、コンセンサス通りの結果だった
2025年06月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日