サマリー
◆12月短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は0%pt(前回差▲5%pt)、大企業非製造業の業況判断DI(最近)は20%pt(前回差▲1%pt)と、いずれも悪化したが、2013年6月調査以来で最低水準となった製造業の不調と、非製造業の相対的な健闘が際立つ。製造業の業況判断悪化は、世界的な稼働率低下を背景とした資本財の需要減退を主因としたものだ。他方、非製造業では一部に駆け込み需要の反動と見られる動きが確認されるが、今のところ前回の増税後と比べて総じて影響は小幅にとどまっている。
◆業況判断DI(先行き)では、大企業製造業(0%pt、今回差±0%pt)が底入れに向かう一方、大企業非製造業(18%pt、今回差▲2%pt)ではもう一段の悪化が見込まれている。製造業では、想定為替レートが実勢よりも円高水準に設定されているにもかかわらず、幅広い業種で業況の底打ち・回復が見込まれている。米中交渉の進展次第では来期の回復も視野に入ってくるだろう。他方、非製造業では、とりわけ増税関連特需や駆け込み需要等で潤った業種を中心として、反動等による業況の悪化が警戒されている。
◆2019年度の全規模全産業の「設備投資計画(含む土地、ソフトウェア投資額と研究開発投資額は含まない)」は、前年度比で+3.3%となった。大企業製造業を中心として、例年の修正パターンよりも底堅い動きが見られる。業況判断の水準は決して高くないものの、今後のグローバルな景気循環の底入れや米中交渉好転の可能性を視野に入れて、業容の再拡大を検討し始めている可能性も指摘され得るだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日