2019年12月日銀短観

大企業製造業の業況は6年ぶり低水準。しかし先行きに底入れの兆し。

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2019年12月13日

  • 小林 俊介

サマリー

◆12月短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は0%pt(前回差▲5%pt)、大企業非製造業の業況判断DI(最近)は20%pt(前回差▲1%pt)と、いずれも悪化したが、2013年6月調査以来で最低水準となった製造業の不調と、非製造業の相対的な健闘が際立つ。製造業の業況判断悪化は、世界的な稼働率低下を背景とした資本財の需要減退を主因としたものだ。他方、非製造業では一部に駆け込み需要の反動と見られる動きが確認されるが、今のところ前回の増税後と比べて総じて影響は小幅にとどまっている。

◆業況判断DI(先行き)では、大企業製造業(0%pt、今回差±0%pt)が底入れに向かう一方、大企業非製造業(18%pt、今回差▲2%pt)ではもう一段の悪化が見込まれている。製造業では、想定為替レートが実勢よりも円高水準に設定されているにもかかわらず、幅広い業種で業況の底打ち・回復が見込まれている。米中交渉の進展次第では来期の回復も視野に入ってくるだろう。他方、非製造業では、とりわけ増税関連特需や駆け込み需要等で潤った業種を中心として、反動等による業況の悪化が警戒されている。

◆2019年度の全規模全産業の「設備投資計画(含む土地、ソフトウェア投資額と研究開発投資額は含まない)」は、前年度比で+3.3%となった。大企業製造業を中心として、例年の修正パターンよりも底堅い動きが見られる。業況判断の水準は決して高くないものの、今後のグローバルな景気循環の底入れや米中交渉好転の可能性を視野に入れて、業容の再拡大を検討し始めている可能性も指摘され得るだろう。

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