サマリー
◆2月の生産指数は前月比+1.4%と4ヶ月ぶりに上昇し、コンセンサス通りの着地となった。外需は春節等の反動で2月の輸出数量が大幅増であったが、生産指数の回復は限定的であり、内需が力強さを欠いたようだ。先行きを製造工業生産予測調査で見ると、3月:同+1.3%、4月:同+1.1%である。3月の予測値を用いて1-3月期の生産指数を試算すると前期比▲2.5%となり、1月の急落を2、3月では挽回できない見込みだ。また、生産計画のバイアスを補正した3月の先行き試算値(最頻値)は前月比+0.4%であり、先行きの基調は強くはない。
◆出荷指数と在庫指数を見ると、出荷指数が前月比+1.8%と大幅に上昇した一方、在庫指数は同+0.5%と小幅な上昇にとどまった。ただし1、2月の数字は春節によって攪乱される点に注意が必要である。そこで1、2月を平均すると出荷指数:2018年12月比▲2.5%、在庫指数:同▲1.1%である。出荷が想定よりも伸び悩んでいることから、在庫の削減が思うように進んでいない可能性がある。
◆業種別では、自動車工業や生産用機械工業などが上昇した。品目別では普通乗用車、半導体製造装置等が上昇に寄与した。自動車工業は一部メーカーの生産停止などの影響で1月に急落したが、2月は反発した。基調としては2018年半ばから上昇傾向である。自動車の在庫調整は終了し、足下では生産増の局面に入っているようだ。生産用機械工業は高水準だが、1月急落からの回復は弱い。機械受注統計ではピークアウト感が見られ、牽引役であった半導体等製造装置の輸出も弱いため先行きには注意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年3月雇用統計
失業率は上昇するも、求人倍率が上昇するなど雇用環境は悪くない
2025年05月02日
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日