2019年3月日銀短観予想
業況判断・設備投資計画ともに拡大幅縮小への転換点
2019年03月20日
サマリー
◆4月1日に公表予定の2019年3月日銀短観において、大企業製造業の業況判断DI(最近)は10%pt(前回調査からの変化幅:▲9pt)、大企業非製造業の業況判断DI(最近)は20%pt(同:▲4pt)と予想した。日本企業の業況感は、2017年末から2018年前半にピークをつけたのち、現在に至るまで悪化傾向が続いている。
◆前回調査(2018年12月)からの悪化は、主に①中国向けを中心とした輸出の大幅な減少と、②原油価格の再上昇などに伴う交易条件の悪化による部分が大きいとみられる。こうした悪材料が強く反映されるであろう「はん用機械」、「生産用機械」、「石油・石炭製品」などの大企業製造業の業況判断DIが比較的大幅に低下すると見込んでいる。大企業非製造業では、「運輸・郵便」、「電気・ガス」などを中心に、交易条件の悪化が強く作用する業種を中心に業況判断DIの低下を見込んでいる。
◆2018年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比+7.2%と、前回の12月短観(同+10.4%)から下方修正されると予想した。高水準の企業収益を背景として設備投資計画そのものは強かった一方、グロ—バル金融市場の動揺や中国を中心とした世界経済の減速、そして資本財供給能力の限界などの問題から、例年の修正パターンよりも若干低い水準での着地を予想した。それでもなお、設備投資の伸び率はリーマン・ショック以降で最も高い結果となる。
◆2019年度の設備投資計画(全規模全産業)は前年度比▲3.9%を予想する。日本経済・世界経済の不透明性が高まる中、きわめて好調だった2017年度初頭、2018年度初頭の設備投資計画に比べると、2019年度初頭の設備投資計画は若干慎重な数値に着地するとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月18日
税金読本(10-1)デリバティブ取引の税金の基本
-
2021年01月15日
ポストコロナの人事制度を考える視点
~働く人の意識変化をどう捉えるか~
-
2021年01月14日
2020年11月機械受注
船電除く民需は市場予想に反し2ヶ月連続で増加、回復基調が強まる
-
2021年01月14日
アメリカ経済グラフポケット(2021年1月号)
2021年1月12日発表分までの主要経済指標
-
2021年01月18日
新局面を迎えるナウキャスティング
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月01日
2020年10月雇用統計
有効求人倍率が1年半ぶりに上昇
-
2020年11月20日
日本経済見通し:2020年11月
経済見通しを改訂/景気回復が続くも、感染爆発懸念は強まる
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目
-
2020年10月15日
緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算
ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く