サマリー
◆2018年11月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比▲1.1%となり、2ヶ月ぶりに低下した。10月は9月からの反動で大きく上振れしているため、この3ヶ月は均してみるべきである。均すとほぼ横ばい圏であり、足踏み状態が続いている。他方、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、同▲0.0%と2ヶ月ぶりに僅かながら減少した。業種別に見ると、製造業は同▲6.4%と2ヶ月ぶりに減少した。非製造業(船舶・電力を除く)は、同+2.5%と2ヶ月連続で増加した。
◆2018年11月の家計調査によると、実質消費支出は前月比+1.1%と2ヶ月連続で増加した。ただし、全体を押し上げているのは、いずれもぶれの大きい項目である。費目別に見ると、「住居」(同+14.3%)、「その他の消費支出」(同+6.5%)が増加した一方で、「教育」(同▲12.3%)、「光熱費」(同▲5.8%)などは減少した。他方、11月の完全失業率(季節調整値)は前月から0.1%pt上昇し2.5%となった。有効求人倍率(同)は前月から0.01pt上昇し1.63倍となった。また、新規求人倍率(同)は前月から横ばいの2.40倍となった。
◆今後発表される経済指標では、2019年2月14日公表予定の2018年10-12月期GDP(一次速報)に注目している。10、11月の月次統計に基づけば、10-12月期の実質GDP成長率は2四半期ぶりのプラス成長となるとみている。項目別に見ていくと、内需は2四半期ぶりにプラス寄与となる可能性が高い。一方、外需については引き続き弱い動きが続くだろう。総じてみると、底堅い内需と冴えない外需が入り混じり、プラスでの着地となるだろう。前期比で見ると、ヘッドラインの数値はよく見えるが、2018年下半期で見ると、上半期を僅かに上回る水準にとどまり、日本経済は踊り場局面に位置しているという当社従来の見方をサポートする結果となろう。また、当面は、潜在成長率を若干下回る低空飛行を続ける公算が大きい。今後は、エネルギー価格の動向と消費増税をめぐる各種の対策が鍵となりそうだ。
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