サマリー
◆12月短観では、原油安メリットと災害復旧、想定為替レートの円安方向での修正などを背景に、企業の業況感の悪化が一旦緩和し、底打ちする姿が確認された。業況判断DIは大企業製造業が17年12月、大企業非製造業は18年6月をピークとして緩やかな低下が続いてきたが、12月短観ではそれぞれ19%pt(前回差0%pt)、24%pt(同+2%pt)となっている。いずれも市場コンセンサスの上限値を上回る水準だ。
◆2018年度の売上高計画は、大企業全産業で前年度比+3.3%(修正率+1.0%)と小幅に上方修正され、2年連続の増収が見込まれている。経常利益計画(水準)は、前年度の大幅増益の反動もあり、現時点で前年度比▲0.8%となる計画であるが、前回から上方修正(修正率+3.9%)された。
◆高水準での企業収益が続く中、2018年度の全規模全産業の「設備投資計画(含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)」は、前年度比+10.4%となった。これは比較可能な2004年度以降で、2006年度計画(同+10.5%)に次ぐ高水準である。
◆もっとも、先行きに関して、企業は慎重姿勢を崩していない。大企業製造業は15%pt(今回から▲4%pt)、大企業非製造業は20%pt(同▲4%pt)と、業況の悪化を見込んでいる。悪化の背景としては「米中冷戦の激化懸念」、「原油価格の落ち着きがいつまで続くか見通せない不透明性」、そしてより本質的には「生産活動の足踏みが続く中で、価格転嫁が必ずしも芳しくないこと」の三点が挙げられるだろう。
◆全規模の雇用人員判断DI(最近)は、製造業と非製造業のいずれも低下(需給の引き締まり)し、依然として大幅なマイナス圏での推移となっており、企業の人手不足感は強い。先行きについては、製造業と非製造業がともに低下(需給の引き締まり)しており、とりわけ、非製造業の先行きの低下幅が大きい。非製造業を中心に、今後も労働需給のタイト化が一段と進む見込みだ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年3月雇用統計
失業率は上昇するも、求人倍率が上昇するなど雇用環境は悪くない
2025年05月02日
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日